不動産投資なのに金融商品ってどんな仕組みなの?

REIT

「不動産投資についてインターネットで検索していたけど、REITという言葉がよく目につく」
「高い分配金が貰えるらしい、でも仕組みがわからない」

最近良く耳にするこのREITとは一体なんの事を指すのでしょうか?

そこで、今回筆者本郷マサシが、

この記事で学べること

・REITとはなにか?その仕組み
・資産運用にREITを利用するメリット・デメリット
・REITの買い方~選び方の秘訣

まで、まとめて紹介します。

銘柄選びの秘訣についても一緒にご紹介致しますので、ぜひ参考にしてみて下さい。

不動産市場を取り巻く環境について絡めながら、今後の展望についても探っていきましょう。

REITの仕組みって?

投資信託のひとつで、運用対象の中心が不動産となっているもののことをいいます。

証券会社を通じて投資家から集めたお金をオフィスビルやマンション、レジャー施設などに投資して、その賃貸料や売却益を投資家に分配する仕組みとなっています。

運用対象は不動産ですが投資信託のため、実物の不動産取得のような煩わしい手続きなしで売買できます。

R:Real
E:Estate
I:Investment
T:Trust

リートと読み、不動産投資信託とも呼ばれます。

そもそもは1960年代にアメリカで生まれたREITですが、急激に普及したのは1990年代です。その後日本では2001年の9月から東京証券取引所で取引が開始されました。

アメリカのREITと区別するために、日本版をJ-REITと呼んでいます。

大きく3つに分けられるREITの種類とそれぞれの仕組み

REITには大きく分けて3つの種類があります。どれも投資対象は不動産ですが、少しずつ違いがあるので確認しておきましょう!

個別銘柄のREIT(上場)

位置づけとしては株式と同じになります。なので、証券会社のHP等を見ても「国内株式」の一覧の中に入っていることが多いです。

例としては、8951 日本ビルファンド投資法人などが上げられます。

日本ビルファンド投資法人はオフィスビルを投資対象としており、2001年に上場しREITのなかでも最古参銘柄の一つで、資産規模1兆円超えを果たした最初の銘柄でもあります。

考え方は同じです。日本ビルファンド投資法人はオフィスビルに特化した投資法人ですが、ホテルや商業施設に特化したもの、住宅だけに特化した投資法人もあります。

また、保有物件を用途別にせず混合させた投資法人も存在し、分散投資の面から評価されています。

REIT ETF(上場)

ETFとは、Exchange Traded Fundの略で上場している投資信託のことを指します。

わかりやすく、銘柄コード1343 東証REIT指数ETFを例にご説明致します。まず東証REIT指数とは、REIT市場の全体的な動きを把握するために設定された指数です。株で言う日経225と同じような役割を果たしている指標といえます。

この東証REIT指数ETFは、東京証券取引所(東証)に上場するREITの全銘柄を時価総額(REITの大きさ)に比例するように組み入れ、東証REIT指数に連動するように作られました。

東証REIT指数は毎日東京証券取引所が算出および公表をしており、この指標を見るとJ-REIT市場全体の動きを捉えることができると言えます。また、年に4回、決算日の約40日後に分配金が支払われます。

個別銘柄のREITとの違いですが、トヨタに投資をするか、日経225に投資するかの違いと理解していただければわかりやすいと思います。

また、海外のREITに投資するETFもあります。銘柄コード2515 外国REIT(為替ヘッジなし)では、配当を含めたS&P先進国REIT指数のうち日本を除いたものを指標とし、連動するように設定した海外REITのETFです。運用対象は外貨建てになりますので、為替の影響を受けます。こちらも年に4回、決算日の40日後に分配金が支払われることになっています。

ETFも投資信託ですが、指標に沿って銘柄を組み入れるのでファンドマネージャーが積極的にリスクを取ってリターンを狙いに行くわけではありません。(このような形式のファンドを「インデックスファンド」といいます。)インデックスファンドは低コストで運用できる点が評価されています。

個別よりもREIT全体の成績が上がると期待できる場合にはETFも候補のひとつになります。

REITファンド(非上場)

REITファンドとは、複数の不動産投資法人へ投資をする「契約型」投資信託です。

「契約型」投資信託とは、投資信託の運用会社と信託銀行が契約して組成する投資信託のことを指します。皆さんの間で周知されている投資信託のほとんどがこの契約型です。

取引所を介した売買はされませんので、非上場となっています。非上場なのでリアルタイムでの売買はできませんが、株式の取扱のない銀行や郵便局の窓口であっても購入が可能です。

最初にご説明差し上げた個別銘柄のREITでは、ひとつの不動産投資法人に対する投資(仕組みは株と同じ)でしたが、REITファンドはこの個別銘柄のREITをパックにした形で販売されています。パックにした分、さらなる分散投資を図ることが可能です。

REITファンドの例として、ダイワ日本リートファンドが挙げられます。タイトル通り日本国内のREITに投資をしているREITファンドです。

REITファンドは、REITの組入割合の決定、売買をファンドマネージャーが代わりに行ってくれるため、多くのファンドで手数料及び管理料がかかります。

自分で複数の銘柄を管理するのは難しいという方は、コストはかかってしまいますがREITファンドをオススメします。

REITの買い方

上場している個別銘柄のREITやREIT ETFには株式と同じように4桁の銘柄コードが付与されており、証券会社を通して注文することができます。

個別銘柄のREITやREIT ETFは、市場で売買を行うためにリアルタイム売買が可能な半面、売り手がいなければ買えない、買い手がなければ売れないという「流動性リスク」があります。売買高(取引量)が十分にあるものであれば大きな問題はありませんが、少し規模が小さくなるとリスクとして捉えられます。

REITファンドは証券会社や銀行、郵便局で購入ができます。販売に際して必要な目論見書(その投資信託の重要事項が記載された書類)等を受領する必要があります。

魅力的なメリット

REITの仕組みと種類までご説明させていただきました。さて、REITを買うとどんな良いことがあるのでしょうか?

何より分配金が高い

J-REITは法律で、「利益の90%以上を投資家に分配金として支払うと、法人税が実質免除となる」と定められています。何かおかしなカラクリがあるという訳ではなく、単純に分配金=経費と認められるため、税金がかかりません。

このため投資法人は積極的に分配金を支払います。投資家にとっても嬉しい法律と言えます。

現在上場しているJ-REITの平均分配利回りは3.74%となっており、中には4%を超えるものまで存在します。日本株の平均分配利回りが約2.0%ですから、いかにREITの分配金が高いのかがわかります。

不動産投信情報ポータルで各J-REITの利回りを確認することができます。

参考:不動産投信情報ポータル

分配金はもちろん上下することがありますが、基本的にはテナントからの定期的な賃料収入となっているために安定していると言えます。

小額から投資可能

実物の不動産を購入するとなると莫大な資金が必要となりますが、投資信託なので少額から投資が可能です。

投資対象は多くのマンション、商業ビル、オフィスビルなどで、ひとつの不動産に対して投資するわけではないため、空き家リスク等もあまり心配いらないと言えます。

相続で揉めない

不動産を所有されていた方がお亡くなりになり、相続手続きの際に家族・親戚で揉めるケースが多発しています。

あらかじめ遺言等を準備していれば、揉めることもなく解決が可能ですが、不慮の事故等で突然お亡くなりになられた場合は、残った家族・親族で話し合うことになります。

現金や株式・投資信託などの金融商品であれば金額を決めて分割することが可能ですが、不動産だとそうはいかず、泥沼の相続争いになる家庭も少なくありません。

REITの投資対象は同じ不動産ですが、金融商品のため現金化して分割することが可能です。

デメリット

上記まででメリットをご紹介致しましたが、もちろん投資ですのでリスクもつきものです。リスクもしっかり理解しておきましょう。

元本保証ではない

株と同じく金融商品ですので、元本は保証されません。

所有している不動産の崩壊やテナントが思うように入らなかった場合、価格の低下や分配金が下がります。

総合型で複数の不動産を保有しているREITを選択したり、複数の銘柄に投資、あるいはREITファンドを購入することでリスクを減らすことができます。

不動産とはいえ相続税減税の対象にはならない

実物の不動産を所有していた場合、法律に則り相続税率が下がります。REITの場合はあくまでも金融資産ですので、節税効果はありません。

選ぶ際の3つの秘訣

REITの良いところも悪いところも知って頂けたところで、どんなREITを選んだら良いのか、3つのポイントをご紹介致します。リスクとなりうるものはできる限り排除していきましょう。

時価総額が低いものは選択肢から外す

REITの時価総額(大きさ)が1,000億円を超えているかどうか、ひとつボーダーラインとしてみましょう。

REITの規模が小さすぎると価格が安定しなかったり、資産規模の大きな投資家(機関投資家等)が売買しづらくなるため株価の底上げにつながらない可能性があります。

保有不動産が少なすぎず、広い範囲に分布していること

例えば、保有している不動産が5つしかないREITの場合、うち1つの投資を打ち切ったり、閉店となった場合残りの4つの不動産で運用を続けていかなければなりません。

100つ保有するREITから1つ不動産が撤退するのとでは、受ける影響に大きな差が出ます。

また、日本国内のREITにおいては災害リスクを無視することができません。例えば茨城県の不動産の組入割合が多いREITがあるとします。

茨城県で大きな地震があり保有物件に大きなダメージがあった際、収益をあげられる物件数が大幅に減少します。

日本国内のREITに投資する際は、保有不動産が少なすぎないか、また地理的な点からも広範囲に投資しているかをチェックしましょう。

また、海外の不動産を投資対象としたREITも一緒に組み合わせると更なる分散投資の効果が見込めます。

「為替ヘッジあり」という為替の影響を受けないように設定されたREITファンドもありますので、日本の不動産市場だけだと心配という方は取り入れてみましょう。

商業施設特化型は今後の見通しが危ない

大型のショッピングモール等では、閉店が相次いでいます。

建物の老朽化による一時的な閉店であれば、今後の再オープン・再開発にむけて回復を見込めますが、多くは収益率の低下による閉店です。

日本では人口の減少が問題となっている点、またインターネットを通じた売買が盛んになっている点などをふまえ、今後商業施設用不動産の運用パフォーマンスは落ちていくことが確実視されています。

総合型のREITであっても商業施設用不動産の割合が大きすぎないREITを選びましょう。

REITおすすめランキング

最後にREIT選びの参考にしたい、高利回り・分配金の安定さからおすすめのREITを3つ紹介します。

順位 銘柄名
1位 8984大和ハウスリート投資法人
2位 3281GLP投資法人
3位 3462野村不動産マスターファンド投資法人

1位.8984大和ハウスリート投資法人

タイプ 時価総額 分配金利回り
総合型 約6000億円 4.62%

時価総額、利回り、格付けともに申し分ないREITと言えます。ポートフォリオのうち約半分が物流施設、30%が住居、その他ホテルや商業施設も保有しています。保有物件の70%程度が東京23区を含む関東圏内に、その他30%は中部・近畿地方などが占めています。

2位.3281GLP投資法人

タイプ 時価総額 分配金利回り
物流施設特化型 約7000億円 3.49%

物流施設の運営及び開発で国際的に有名なGLPグループの日本法人をスポンサーとしているREITで、保有不動産の100%を倉庫などの物流施設としています。

物流施設特化型のREITの中では最大規模となっており、日本銀行も5%以上を保有しています。分配金利回りも平均を超え、今後も安定した利回りが期待できるREITのひとつです。

保有不動産の半分強が関東、残りが関西を含めた他地域となっており、地域分散も図られています。

3位.3462野村不動産マスターファンド投資法人

タイプ 時価総額 分配金利回り
総合型 約7000億円 4.61%

一時は時価総額が1兆円を超し、ランキングでは常にトップ3に入る超ビッグファンドの1つです。

中身の不動産の内訳はオフィスが半分弱、住居と商業施設、物流施設がそれぞれ20%以下となっている構成です。

格付けも高く、日銀も6%以上を取得しています。

保有不動産のほとんどが東京、関東圏内を占めますが、15%は関西などの他地域にも渡り、ある程度の地域分散が図られています。

不動産投資を検討している方や分配金狙いの方におすすめ

日本の不動産市場は今後も堅調な収益が期待できます。

特に都内ではオフィスの空室率が過去最低値をどんどん更新しており、オフィス物件に対する需要がとても高くなっていることがわかります。

しかし、実物のオフィス物件を買うとなると相当な資金が必要ですよね。

オフィスに関わらず実際の不動産を買うとなると、入り口にかかる資金や管理費・修繕費が高額であったり、手続きの複雑さ、そして売却時にもなかなか売れなかったりと厄介な問題やリスクがたくさんあります。

しかしREITであれば、少額から始められ、管理も投資法人が全て賄ってくれます。換金性も高いため、なかなか売れないという心配もありません。

当分使用予定のない資金があれば、不動産投資のいいとこどりなREITを始めてみてはいかがでしょうか?

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